一見便利な置くだけトイレですが、その普及が進むことで、実は環境問題を引き起こす可能性も指摘されています。最大の懸念は、廃棄物の増加です。置くだけトイレは、使用するたびに凝固剤や処理袋を消費します。災害時だけでなく、アウトドアやイベントなどでの利用が増えれば増えるほど、その廃棄量は膨大になります。これらのプラスチック製の袋や凝固剤は、適切に処理されなければ環境負荷を高めることになります。特に、プラスチックごみは海洋汚染の原因ともなり、生態系への影響も懸念されています。次に、ごみ処理インフラへの負担です。大量の排泄物入りごみが排出されることで、ごみ焼却施設や埋立地の処理能力を超えてしまう可能性があります。災害時には、通常のごみ収集が滞ることもあり、一時的に大量のごみが滞留することで、公衆衛生上の問題を引き起こすリスクも高まります。また、凝固剤に使用されている高分子吸収材も、完全に分解されるまでに長い時間を要するため、土壌や水質への影響も考慮すべきでしょう。さらに、これらの製品を製造する過程でのエネルギー消費や、原材料の採取による環境負荷も無視できません。手軽さの裏側にある、これらの環境への影響を認識し、できる限り環境負荷の少ない製品を選ぶことや、不要な使い捨てを避ける工夫も求められます。置くだけトイレは便利なツールであると同時に、私たちの環境に対する責任を再認識させるきっかけともなり得るのです。